今回は、相続人の一人と連絡が途絶えてしまっているため、
遺産分割の話し合いが出来ないというケースです。
遺産分割協議は、各々の相続人が話し合いの結果を記載します。
記名または署名にて、実印を押印することで成立します。
そのため、一人でも欠けると、不動産の所有権移転はもちろん
預貯金の名義変更も出来ません。
この場合は、どうするか?
家庭裁判所に、「不在者財産管理人の申し立て」をしなければなりません。
このような事例がありました。
夫、妻の2人家族。このご夫婦には子供がいません。
夫が死亡してしまったこのケースでは、相続人は、妻が4分の3、夫の兄弟が4分の1です。
しかし、この兄弟とは、父親を同じくした異母兄弟でありました。
生前、交流をしていなかったため、所在は不明。
そこで、当職に依頼があったのですが、まずは戸籍の調査をします。
しかし、その異母兄弟のお一人は、明治生まれ。
生きているなら、105歳です。
戸籍謄本を取得し、中身を見ると、戸籍中、除籍となっていなかったのです。
つまり生きているということ。
しかし、その後、住民票を取得すると、所在不明との記載。
これでは、その方の所在はおろか、生死の有無も判断出来ません。
(戸籍上は相続人が生存扱いになっていて、所在と生死の判断もできない事例が多々あります)
このような場合、市区町村に対し、職権消除をしてもらう方法もありますが、
そのときのケースでは、不在者財産管理人の選択を取りました。
つまり、その異母兄弟の代わりに財産を管理していただく方を裁判所に選任してもらいます。
その方が、その異母兄弟の代わりに、遺産分割協議に参加するということとなります。
何分、複雑な事前調査も必要となりますので、
このようなケースの場合は、専門家へ相談をして下さい。