相続人となるべき親族が既に死亡している、
または相続放棄をして相続人がいなくなってしまったなど、
このような状態を「相続人不存在」といいます。
この場合、受遺者がいてもすぐに財産を取得することは出来ません。
ここでは、まず、債権者や受遺者または検察官の請求により、
家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。
一定の手続きの後、公告期間内に相続人が現れなければ、
相続人不存在が確定します。
このとき、まだ財産が残っていれば、
特別縁故者への財産分与が行われることがあります。
それでもなお、財産が残れば、最終的に国庫に帰属します。
ここで重要なのが、相続人が現れず、財産が残っている場合です。
特別縁故者は、家庭裁判所に財産分与の請求をすることができます。
この特別縁故者とは、被相続人と特別の縁故があった人。
例えば、内縁の妻や夫が代表的です。
他にも、被相続人の療養看護に努めた親戚や知人などがあげられます。
このような特別縁故者は、相続人ではありませんので、
被相続人の財産を相続により取得することは出来ません。
そこで、民法では、清算された相続財産を
特別縁故者へ与えることができるよう定めています。
ただし、財産分与を請求できる期間は、
相続人不存在の確定後3ヶ月以内となっております。
この期限内で、家庭裁判所の審判の結果、
相当と認められる場合は、財産の全部又は一部が分与されます。
これについては、手続きが複雑となります。
被相続人が死後に特別縁故者に対しても財産を分与したい場合には、
生前に特別縁故者に対し、財産を分与する旨の遺言を書いておくべきでしょう。